院長のブログ

(24)不老のサプリならぬ不毛のサプリ

前回の特集の通り、漢方薬にも副作用が有ります。漢方薬だからサプリメントの延長の様に考えている人がいるのには驚かされます。また、漢方薬は万能ではありません。過去のペスト、コレラといった急性感染症や結核症にも無効でした。

そして、漢方薬だからといって2剤、3剤服用するのは私は好ましくないと思っています。そういう治療をするクリニックも在るのでしょうが、少なくとも自分は出来るだけしないようにしています。それは、効果があった場合、どちらが効を奏しているのか分かりませんし、副作用が出た場合、どちらのせいか判定し難くなるからです。よく漢方専門クリニックに通っているという人に出された薬をみると、小児に小青竜湯(しょうせいりゅうとう)や麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)といった強い処方が長期に亘って投与されているので驚かされることがあります。半夏(はんげ)は最も古い中国の医書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」でも下薬(げやく)ないし下品(げひんではなく、げほんと読む)に分類され、毒性が強く短期間の表在治療(症状を鎮める治療)に用い、根本治療に用いるべきでない薬です。現在の中国での扱いも「有毒」となっています。麻黄(まおう)は原典では一応中品(ちゅうほん)ですが、下品(げほん)以下の生薬です。米国で死者を出し、販売中止となった痩せ薬「エフェドラ」の主成分がこの麻黄です。最近では神農本草経も上述のように中国で中医薬各論分析により、部分的訂正や再評価もされています。いずれにしても神農(しんのう)という医学の神様が著した様な中医の基礎となる偉大な書物であるのは事実です。先の三品分類(さんほんぶんるい)では下品(げほん)とされていた夏枯草(かごそう)は、現在ではそれ程の毒性も無く、清熱・解毒・利尿・消腫効果があり、中国では良性軟部組織腫瘍・乳腺腫瘍への応用が行なわれています。このように中医薬各論が無視され保険適応病名だけで使われているのが日本の現状です。

前置きが長くなってしまいましたが、「レスベラトロール」もNHKが長寿関連遺伝子と呼称、「サーチュイン遺伝子」を活性化させると大々的に報じ、テレビドクター達もこれに飛びつき、大手F社やD社も次々と開発、発売し、これが嘘であると分かった後でも宣伝し続けています。元々、動物実験のみのデータで、ヒトでは何の証拠も無かったのですが、その動物実験さえ、現在では、(1)サーチュイン遺伝子には寿命を延ばす効果はない(2)MIT(マサチューセッツ工科大学)のレオナード・ガランテ氏のデータねつ造であった(3)最も有効なのは食餌療法であると氏も認めたということです。結果的にNHKも嘘の報道をしたということです。それも、「ガッテン」でNHKはいつも勿体ぶって5分で終ることを1時間かけて放送します。じゃ何故、データを改ざんしてまで嘘の論文まで出すのか?ということです。裏には1,000億円以上とも言えるサプリメント売上が関わっていたと思われます。「赤ワインと心臓への影響」に関連した論文を多数書いた同学閥のダス教授(コネチカット心臓血管研究所所長)も、データ捏造や改ざんのため、大学側から連邦政府から支給された6850万円の研究費を返還するよう訴えられています。私が名付けたのはレスベラトロールの色にちなんで、「米国版“赤い巨塔”あるいは“赤いドルの山”」です。従って、当院では同物質を積極的にはお奨めしません。言えることは、(1)サーチュイン遺伝子は長寿には関係ない(2)レスベラトロールはそれに関連しない(3)さらに吸収も悪く、たかだか20%である(4)値段も高いということです。期待しない方が良さそうです。ただ、抗酸化作用はあり得ると言われています。サプリメントの本場米国では、もう、ブームは終わっています。当に不老のサプリならぬ不毛のサプリのようです。一つ期待が持てるのは「メチル化レスベラトロール」でプテロスチルベンといわれているもので、普通のレスベラトロールよりも吸収も良く、血中濃度も3倍近く長く維持されます。ただしこれも万金丹の様な万能薬ではなくて、コレステロール代謝などへの好影響についてです。他には個人的に抗炎症作用を期待しています。当院ではこのプテロスチルベンのみ扱っています。

「院長のブログ」一覧に戻る