院長のブログ

(23)漢方薬の副作用

どの薬にも副作用はあり得ると言われています。精神科領域での多剤服用患者さんは腸管の運動が低下し、便秘や鼓腸(ガスが溜まってお腹が膨れること)が起こることがあるので注意しましょう。快便に気を使いましょう。さて、一般的に副作用の少ないと言われる漢方薬でも体質によっては高頻度に起こるので注意してください。

まず、日本人では多いのが胃腸障害です。「もたれる」とか「胃が痛む」「吐き気」「下痢」といった症状です。日本人の場合、中国の人と体質的に異なるのかも知れません。従って、こうした症状の出やすい人は「食前」の服用にこだわらず「食後」にした方が良い場合もあります。また、薬によっては血圧が上がったり、浮腫(むくみ)が現れたりする場合もあります。加えて重篤な副作用として肝障害や間質性肺炎があります。

間質性肺炎を来たす有名な処方としては小柴胡湯(しょうさいことう)や柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)があります。含まれる生薬として要注意なのは柴胡(さいこ)です。これが含まれている場合は肺の副作用に注意しなくてはいけません。その他、黄(おうごん)半夏(はんげ)も報告されています。

これらの薬は必要な時に短期間だけ服用すれば、副作用に遭遇する率は極めて少ないと思います。ただ慢性肝炎があるからと小柴胡湯をワンパターンで飲むのは誤りです。今はそういう処方をする病院も無いでしょうが。副作用の機序としては不明な点も多く、(1)細胞傷害(毒性)によるものと(2)アレルギーによるものとが考えられています。薬のアレルギーを調べる検査として薬剤リンパ球刺激試験(DLSTといわれ自費扱い)がありますが、漢方薬は偽陽性といって、関係なくとも陽性になることも多く、絶対的な検査でもありません。

ここら辺は、はっきりせず、心もとないですが、むしろ漢方の作用機序として非常に興味深いといえます。つまり、ベールに包まれてきた作用機序の一部はリンパ球を介するということです。このことより、免疫系に深く関わるのが生薬なのでしょう。いわゆる抗癌漢方薬や近年の腸管免疫との兼ね合いも考えられます。

「院長のブログ」一覧に戻る