院長のブログ

(20)期待される低侵襲・縮小手術

歌舞伎俳優の急死が報じられていますが、詳細は不明です。

ただ、長時間に亘る手術ということは、それだけ摘出や郭清(転移リンパ節を含むリンパ節の完全切除と組織縫合修復)に時間が掛かったということは進行癌であった可能性が高く、元から重症であったということです。

この様に手術時間が長いほど、そして切開範囲が大きいほど身体には負担が掛かります。勿論、手術する外科医の立場からは十分な視野と操作範囲が求められるでしょうし、それを確保した方が外科医は楽です。ただ、患者側から見ると長時間の大きな侵襲(外部から受ける損害、負担)になり得ます。ですから手術は出来るだけ早く終わった方が良いのです。

しかし、ただ速いだけでなく正確さや丁寧さも必要でしょうし、いくら速くても大きな切開では創傷治癒(メスでやられた傷の治り)も遅く、大きな侵襲となります。近年のダ・ヴィンチを使った腹腔鏡手術や内視鏡手術、臍からの単孔手術はそうした必然性から生まれてきたものと考えられます。もっと発展することが期待されます。

循環器領域、心臓外科でもバイパスなどは心外膜に近い、臓器の表面中心の手術ですので、いずれは内視鏡手術が主体となるでしょう。そうなるべきです。心臓外科医は肋骨や胸骨切開はいかに侵襲が大きいかもっと考えるべきです。

ただ、今までのやり方で症例を重ねるなかれ。大学やセンターに居るのなら、日々、低侵襲手術を工夫すべきです。所詮、コンピューターなどの機械の進歩と技術の問題ではないかと言われればその通りです。でも、外科手術自体、元々そのようなものです。

ですから、派手な脚光を浴びる技術の外科に対して内科は昔から「本道」と呼ばれて来たのです。ですが、治療や救命のためにやむを得ずに技術を使用する場合もあります。

しかし、その判断や時期は内科医が決定するものです。また、手術後、外科医はその患者さんを一生診てくれるわけではありません。術後の患者さんを診るのも、苦楽を共にするのも内科医です。

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